施術所選びは慎重に!
消費者庁には、「整体」、「カイロプラクティック」、「リラクゼーションマ ッサージ」などの法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術で発生し た事故の情報が、1,483 件 1 寄せられています(平成 21 年9月1日から平成 29 年 3月末までの登録分)。そのうち、治療期間が1か月以上となる神経・脊髄の損 傷等の事故が 240 件と全体の約 16%を占めています。
鍼灸マッサージは、私たちの健康の保持増進のためや、微症状の愁訴を取り除いたりして、人間が本来持っている自然治癒能力を高めさせたり、ホメオスターシスを働かせて、病気になる手前のところで健康体に戻していこうとする施術法です。
勿論、症状の出ている疾患のなかで、鍼灸マッサージ施術を行うことによって、その症状を取り去り、健康体に戻すこともできます。
また痛みをとる治療法として優れています。
しかも、薬を使いませんので、胃を悪くする事なく、極めて副作用の少ない安全な治療法だという事です。
体や心に、優しく、穏やかに作用します。
【鍼灸】
鍼や灸は3千年前、中国で自然哲学を基礎として体験の中から生まれた治療法です。
<特 徴>
鍼は、皮膚感覚の痛覚に類する感覚を利用したものです。
灸は、温度感覚を利用したものです。
人間が持っている自然治癒能力に働きかけ、その能力を高める効果があります。
特に、自律神経系や内分泌系・免疫系に有効的に作用します。
緩和で効果が持続するので、慢性的な疾患にはより適しているとされています。
<種 類>
鍼の治療法は多種多様です。
ある治療者は東洋医学的な考え方で、またある治療者は現代医学的な考え方で治療を行います
。
また、パルス鍼といって、はりに電気をとおして治療する治療者、細いはりでごく軽微な刺激を与える治療者もいます。
灸については、有痕灸と無痕灸があります。
【マッサージ】
マッサージといわれるものは、フランスなどヨーロッパから伝わったものです。
もともとはフランス語ですが、そのもとはアラビア語の「圧す」ギリシャ語の「捏ねる」、
ヘブライ語の「さする」などの意味からつけられたのだそうです。
<特 徴>
人間の皮膚感覚の、触・圧覚刺激を活用しています。
医学的知識がなくとも、私たちは知らず知らずのうちに、痛む部分を、手や指で押したり、さすったりして、神経の働きや筋の緊張状態を調節したり、また、寒い朝など手をこすり合わせたりして、血液の流れを調えて小さな筋や腱の働きを呼び起こしたりしています。
このような、極く自然発生的な試みから「マッサージ」や「按摩」が発祥し、東西医学の研究、実験・実証が重ねられ、医療の分野の中で応用されるようになりました。
<種 類>
現在日本でマッサージといえばあん摩や指圧を含めて使われており、手技療法とも呼ばれています。
この中にはカイロや整体、足裏マッサージなども含みます。(日本国においては無免許、無資格です)
ご家庭で施灸される方へ
お灸は温熱刺激ですので、感覚鈍磨や麻痺、糖尿病があって化膿しやすい方は十分ご注意ください。
このような場合、施灸にあたっては治療者とご相談なされた方が良いかと思います。
無免許者にご注意
近年、「カイロプラクティック療法」や「整体療法」と称する、公認の資格のない・無免許者による「治療」行為が有償で行われるようになりました。
この行為による被害も多数に渡り、国会でも取り上げられる等社会問題になっています。
カイロはギリシャ語で手を、プラクティックは技術を意味し、百年ほど前に米国で体系化されたものです。
この行為は、背骨の歪みを矯正することを目的に、指等により揉む、叩く、押すまたはスラスト法(瞬間的に強い力を加え矯正しようとする方法)を行います。
実技的に按摩・マッサージとほぼ同じといえますが、これらは日本の法律で認められた医療機関ではありませんので、国家試験などはなく、ほとんどが無免許・無資格の人が行っています。
ですから、もし医療事故などに遭遇しても、国としての責任や補償は何もありません。
【被害の例】
椎間板ヘルニア症状による腰痛を訴える37歳女性に対し、簡単な問診と触診を行っただけで足を固定し頭を押えつけ、無理に前屈の姿勢をとらせた為、腰の激痛のため直立歩行が不可にりました。
帰宅後は排尿排便が困難となり、診断の結果馬尾神経不全麻痺により両下肢の鈍麻、膀胱及び性機能が低下。
この事案で東京地裁は整体施療院に約3900万の支払義務を認めています。
また日本整形外科学会は昭和60年以来、厚相に対し有害・危険な症例報告を提出。
厚生省も平成3年に通知を出し、スラスト法(瞬間的に強い力を加え矯正しようとする方法)等の危険性を指摘しました。
病気の状況や症状によっては、医師の指示や同意を必要とすることもありますので、ホームドクターとよくご相談することが大切です。
鍼灸治療はこの他にも様々な症状・疾患に効果を発揮します。どうぞお気軽にご相談くださいませ。
<鍼は痛い?灸は熱い?>
鍼は、決して痛くはありません。 現在日本で多く使われているはりは「鍼」といわれ、中国針よりははるかに細く、さらに材質も軟らかく、注射針と異なり先端が丸く作られていますので、ほとんど痛みを与えることはないのです。
はり刺激では体の中で何ともいえない心地よい響きが感じられます。
また、体がリラックスして温まった感じがしてきます。 灸は、確かに熱いのですが、やり方によっては気持ちのよい温かさを感じることができます。
<鍼は安全?>
「感染しませんか」と聞かれますが、鍼で重篤な感染症を起こしたという話を聞いたことがありません。
使用する鍼の先端は、丸く加工されておりますので刺入しても出血することはありませんから、感染の危険性は極めて低くなります。
現在、日本で行われている鍼施術の大半は、病状を示す反応点や経穴部位に対し、細い毛髪(0.2mm)位太さで、きちんと殺菌された使い捨ての鍼を使用しておりますし、感染防止対策には細心の注意を払っております。
<灸は何種類?>
大きく分けて2つあります。 その一つは有痕灸といわれるもので、小さいもぐさ(糸状、ゴマ状、半米粒大程度)を経穴上に直接燃焼させるものです。
有痕灸というくらいですから、いくらか痕が残る場合もありますが、ごく小さいものあるいは熱くなった瞬間アルコール綿や指で押さえるとほとんど痕を残すことはありません。
もう1つは、無痕灸といって痕のつかない、いわゆる温灸の事で、もぐさが燃焼しきる前に温かく感じたら取り除く方法です。最近薬局などで売られている「○○灸」といわれるのはこのたぐいです。
<マッサージ治療って?>
あん摩・マッサージ・指圧は、手技療法とも呼ばれています。
手をあててさすったり、もんだりすると、手のぬくもりが肌をとおしてしみこみ、そのぬくもりが、神経や筋・心の緊張・興奮を優しく和らげてくれます。
また、全身の血液循環を改善し、関節の動きをよくしてくれ、自律神経系の調整をも図ります。
街中で「足裏マッサージ」とか、「リフレクソロジー」とか、カイロプラクティックとか、整体とかいろいろな看板を目にしますが、これらは手技療法に含まれます。
<ツボって何?>
全身には経絡という生命エネルギー(気・血)が流れている道が隅々までくまなく分布していますが、「ツボ」はこの経絡上に存在しています。
経穴は体の変調や異常をうつしだす鏡であったり、はり・灸・指圧などの刺激を受け取る窓口のようなものであり、全身に1000個近くあります。
ですから、私たちは経穴の反応をみて体の変調や異常を知り、関係する経穴を刺激するのです。
<もみ返しって何?>
もみかえしとは、刺激がその人にとってやや強すぎたために、一時的に軽い炎症が起こった状態です。
<鍼灸マッサージ師>
厚生労働大臣の行う所定の学校で所定の単位を履修し、国家試験に合格し、厚生労働大臣の発行した「免許証」を所有しなければなりません。
「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」に則り、文部科学大臣の認定した学校、または厚生労働大臣の認定した養成施設において解剖学、生理学、リハビリテーション医学等の基礎医学や臨床医学、東洋医学等の専門科目の知識や技能を3年以上にわたって履修し、卒業後、厚生労働大臣の行う国家試験に合格して始めて免許が与えられます。
東洋医学が、朝鮮半島を渡り日本に入ってきたのは、仏教の伝来に遅れること10年、西暦562年の飛鳥時代だといわれています。現代医学では、なかなか治療効果の上がらない疾患等々のなかで、改めて、東洋医学の偉大さに目が向けられてきています。
東洋医学は、中国で生まれ、3千年もの長い歴史を持ち独自の臨床体験と治療効果に裏付けられた医学です。
黄河流域を中心とした、寒冷でやせた土地から「ヨモギ」類などの低い草と、石「いしばり」から「鍼灸」と「按摩」の物理療法が生まれました。
未病とは、「未だ見ぬ病」または、「未だ病まず」と解釈してください。
つまり、まだ病気ではない、しかし健康でもない状態、言い換えれば本当の病気の予備軍といえるでしょう。
疲れやストレスが継続すると、「未だ病まざる」状態、つまり「未病」状態となっていくのです。
生活習慣病といわれるガン・糖尿病、心症状、高血圧などはこの未病状態が具体化したものです。
東洋医学では、痛みやしびれ、自律神経失調症などの病気は、経絡を流れている生命エネルギーの過不足や停滞によって生ずるものと考えています。
鍼灸マッサージは、自然治癒能力を高める所にその効果・意義がありますので、未病状態でアプローチする事が最も効果的であるという事もできます。
これが、東洋医学が予防医学と言われる由縁です。
マッサージや鍼灸についても保険を利用する道が開かれています。
医師が同意した一定の病気でマッサージや鍼灸を受ける場合は、療養費払いの形でかかった費用の9割~7割が保険者から皆さまに支払われます。
したがって、老人保健などの対象となっている方は、一部負担金をのぞき無料で施術が受けられます。